「無二斎兵法の真実」
●直筆
武蔵の父(養父説あり)で武術の師匠と言われる宮本無二斎は當理流の達人であり、直筆と思われる秘伝書が四通ほど残っている。上げてみよう。
@慶長二年、奥田藤左衛門に宛てた伝書
『当理流免許状』 「宮本無二之助 慶長二年霜月吉日 奥田藤左衛門尉殿」
A慶長三年、水田無右衛門に宛てた伝書
『実手当理流剣術免許状』 「開山 天下無双
宮本無二斉藤原一真
水田無右衛門 参 慶長三年黄梅廿四日」
B慶長五年、久野四兵衛氏に宛てた伝書(久野氏と連署説あり)
C慶長十二年、友岡勘十郎に宛てた伝書
『当理流免許状』 「天下無双
宮本无二助藤原一真
慶長拾弐年九月五日 友岡勘十郎殿」
このうち@とAは原本が公開され、内容は理解できる。
Cは原本公開はないが奥書が翻刻されており、また原本もこの奥書くらいの断簡に過ぎないようである。
Bのみが公開されおらず、詳しい内容は不詳であるが、綿谷翁は内容をみて新當流の目録に似ていると述べ、最後に「世の中に弓鉄砲のなかりせば我が兵法に誰がかつべし」という道歌が記されいるという。
●二代目伝書
無二斎の門人の何人かの伝書が残っている。上げてみよう。
@水田伝書
慶長十三年に水田無右衛門が三宅某に発行した剣術目録。
A和介田卜斎伝書群
慶長十二年に和介田卜斎が発行した無双流伝書
B宮本武蔵守義経の発行した『兵道鏡』数点
C青木鉄人金家の発行した伝書
寛永年間に真澄氏に発行した絵伝書
●三代目の伝書
@荒木無人斎信家が慶長十五年に発行した『無双流二刀秘伝巻』日渡久乎授巻
B荒木八右衛門信家が慶長十三年に中村六平に発行した『無双流』伝書。
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