●3月1日「不思議な武人荒木信家」
宮本無二斎の孫弟子に荒木八右衛門なる武人がいた。無人斎を號し、諱は「信家」である。無二斎の門人、和介田卜斎の門人で、捕手と剣術を伝承した。系脈から考えても宮本武蔵ともかなり近しい関係であっただろう。上州や信州あたりで活躍したらしいのであるが、直筆伝書が管理人の知る限り二通残っている。しかし上州で活躍した江戸初期の荒木無人斎といえば、荒木流捕手の開祖である荒木無人斎秀綱と余りにも酷似した名前であり、不思議な感じがするのである。確かに諱は違うが昔からそのような齟齬はありがちである。それに荒木秀綱系の直截的な資料は現存せず、荒木流捕手系で諱が胡乱となった可能性はあるかもしれない。
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